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病気のお話・高血圧と脳卒中
ご存じの通り、脳の血管障害(脳卒中)は悪性新生物、心疾患とならんで三大成人病のひとつにかぞえられています。たとえ一命をとりとめても多くの後遺障害を残し、 その後の生活の質を著しく低下させる困った病気です。脳出血、脳梗塞、くも膜下出血がその代表的疾患です。
ここ数十年、脳梗塞が増加してきましたがその原因は動脈硬化といわれております。人間は年を重ねるにしたがって誰でも動脈硬化という老化現象に見舞われますが、 50代で脳梗塞になるひともいれば80歳でもまったく年を感じさせない方もいらっしゃいます。現代の大問題、認知症の増加も、 小さな脳梗塞を繰り返しているうちに発症される方がたくさんいらっしゃいます。それでは、脳梗塞をひきおこす動脈硬化症の最大の危険因子は何なのでしょうか。
それは血圧が高いこと、すなわち高血圧症です。膨大なデータの解析により現在では収縮期140mmHg、拡張期90mmHg以上が危険な血圧と考えられています。 別に至適血圧という考え方もあり、収縮期120mmHg、拡張期80mmHg未満ということです。
私が医者になった約30年前とは隔世の感があります。当時は血圧を上手に下げることができませんでした。現在のようにほとんど副作用なく、 確実に血圧を下げる薬がなかったのです。
日本人の寿命はまだ伸びています。楽しく健康な老後を考えるとき、もう一度血圧のことを思い出しましょう。
最後になってしまいましたが、動脈硬化の危険因子、煙草、肥満も忘れないでくださいね。
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