トップへ

機能性ディスペプシアとは
「以前からしょっちゅう胃が痛む、胃もたれがする、ムカムカする。けれども胃カメラをしても何ともないと言われた…。」ひょっとすると、 こんな経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。「気のせいでしょう」「ストレス性の胃炎だと思います」などの言い方をされた方も多いかも知れません。 しかし近年、このような状態を『機能性ディスペプシア』と呼び、病気としてとらえるようになってきました。
国際的な診断基準では、「食後のつらい胃もたれ」「すぐに満腹になる」「みぞおち部分の痛み」「みぞおち部分が焼けるような感じがする」の4つの症状のうち、 1つ以上が6ヶ月以上前に始まり、3ヶ月間続く状態を指します
こうした症状は、
1).食べ物が胃の中に入っても胃が十分に膨らまない。
(→すぐに満腹になる、食欲が落ちる)
2).胃の動きが弱く、胃の中に長く食べ物が残っている状態が続く。
(→胃がもたれる、胃が重い、お腹が張る)
3).胃酸に対して敏感に反応する。
(→みぞおちが痛む、みぞおちが焼けるような感じがする)
以上のことなどで起こります。すなわち胃の機能的な問題であるために、胃カメラをしても基本的には一見“何ともない”というわけなのです。 結局のところ、ストレスや生活習慣の乱れから胃の働きを調節する自律神経のバランスが崩れて起こるほか、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が原因となることもあります。
日本消化器病学会などは今年4月、診断や治療法などをまとめた診療指針を作りました。この指針によると、治療は生活習慣の改善と薬が中心となっています。
まずは規則正しい生活を心がけるようにして、睡眠不足にならないようにします。1日3回決まった時間に食事をし、食べ過ぎや飲み過ぎ、夜食は避けるようにします。 脂っこいものや香辛料など、胃に負担をかけるような食事も見直す必要があります。
薬物治療では、胃酸の分泌を抑える薬や胃の動き・働きを活発にする薬などが使われますが、昨年5月からは機能性ディスペプシア専用の新しい薬が選択肢に加わりました。 症状に対する不安感が強い場合には抗うつ薬や抗不安薬を併用する場合もあります。また、ピロリ菌に感染している方は除菌することで症状の改善が期待できます。
但し、こうした治療の効果には多かれ少なかれ個人差があります。症状を気にしすぎるとかえって悪化させてしまう可能性もあるため、 長い目で粘り強く治療を続ける必要があります。
戻る