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タバコ、吸っちゃダメなんですか?
呼吸器診療の中では、タバコが原因(悪化要因)となる病気の患者さんと日常的に接します。ちなみに私はタバコを吸いません。服にニオイが付くのも嫌ですし、目の前で吸われるのはもっと苦手です。しかしタバコを吸う患者さんが嫌いな訳ではありません。来院される喫煙者の多くは、罪悪感を持っています。それでも「吸わざるを得ない理由」があるのだと考え、お気持ちを汲むようにしています。
しかしご家族から「タバコを止めるよう叱ってやって欲しい」と言われたり、患者さんから「他院の医者に、タバコを続けるならもう診察しないと言われた」と聞いたり、世間の風当りは強いんだなぁと感じます。そんな場面で、私は心の中でいつもこう思います。
「タバコ、吸っちゃダメなんですか?」
健康に良くないのは分かります。マナー次第では周囲に迷惑なのも分かります。病気が増えれば国の財政が危うくなるのも分かります。でも、合法であり市販品なんですよね。その人の自由なんです。
同じ理屈で考えると、スポーツで怪我をして整形外科に受診した患者さんに「スポーツなんてするから怪我をする」「スポーツは関節に悪いから止めなさい」と言わなければなりません。でも実際はタバコの様に非難はされない。
大切なのは吸うにせよ吸わないにせよ、その「目的・意義をはっきり見据える事」。吸うなら「危険性を理解・覚悟して吸う事」ではないでしょうか。そのためのアドバイスや覚悟を決めた方のお手伝いも、私たち医療従事者の役割だと考えて診療しております。・・・でも、私はタバコが苦手です。


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