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全死の急増が予測される多死社会
超高齢化が加速し、今後は“多死社会”、を迎えることになります。がんに対する治療法は非常に進歩し、共存して生きる時代に突入したといえますが、その一方、今後死因の多くを占めると考えられているのが心不全です。 心不全はポンプ機能がうまく働かないために血液が滞る状態で、高血圧や狭心症・心筋梗塞、弁膜症の他、特に不整脈が原因となるケースが多いため注意が必要です。いずれも動脈硬化が進むことで発症しやすく、喫煙が主な原因のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といった呼吸器疾患も関連します。 高齢者の中には、大動脈弁の硬化がなかなか発見されずに体調を悪化させているケースも少なくありません。心臓病が悪化すると、肺に悪影響を及ぼすことが多いですが、これからは心臓と他の臓器をトータルで診ていくことも重要です。 腎臓、肝臓の働きは密接につながっており、腹水の要因が肝臓かと思っていたら、心臓が原因だったということもあるからです。
心疾患に対する治療法は進化していますが、患者さんによっては痛みを和らげるといった緩和的な医療が循環器の領域にも今後は必要だと考えています。 予防に向けてはバランスのとれた食事と運動が何より重要です。積極的に取り組むようにしましよう。


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