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コロナウイルス罹患(りかん)後症状
日本国内でのコロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数は2000万人を超え、珍しい病気から日常よく遭遇する病気へと変わりました。第○波と表現されるように、感染者数が大きく増減する中で、「オミクロンは軽症ばかりだから心配いらない」と言われる一方で寛解を迎えたにもかかわらず後遺症に悩まされる人も残念ながら一定数います。
厚労省はこれまで『新型コロナウイルス感染症:診療の手引き』を発行し、何度も改訂を繰り返して最新の情報をアップデートしています。その別冊「罹患後症状のマネジメント」が2022年4月に発行されました(本原稿作成時点2022年9月の最新は第1.1版)。コロナウイルス感染症の後遺症は、long COVIDやpost-acute COVIDなどと表現されましたが、この別冊のタイトルの通り、厚労省は「罹患後症状」と呼ぶことにしたようです。
罹患後症状は、日常生活、仕事、学業などの様々な場面で影響が出ています。多くは3ヶ月くらいで3分の2は回復しますが、さらに長引く人や悪化する人もいます。
最も多い症状は倦怠感です。下に示す図の通り、罹患後の倦怠感はコロナウイルス感染症後3ヶ月で21%います。時間経過とともに症状は減ってゆきますが、1年経っても症状が残っている人が13%いることもわかっています。そのほかの症状として、呼吸困難、筋力低下、集中力低下、脱毛、睡眠障害、咳、頭痛、味覚障害、記憶障害、関節痛と続きます。また、症状消失後に再度出現することもあるため、多くは診断に難渋します。
私の外来でも、コロナ寛解後からむしろ咳が悪化し、結果的に気管支喘息を発症していたというケースをよく見ます。そのほか、原因不明の倦怠感や四肢のしびれ、記憶障害、集中力低下などの症状を訴えられる人もおり、それがゆっくり時間をかけて改善する人、なかなか改善しない人など、その経過は多種多様です。西岡病院では、通常外来のなかで罹患後症状の相談をしています。最初に全体的な病状を捉えるために採血、レントゲン、心電図などをおこない、必要に応じて検査を追加することや専門医療機関へ紹介するなどの対応をしています。


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